接骨院・整骨院・整形外科など体に携わる仕事をしている人なら必ず大事にしている”インフォームドコンセント”ですが、意外とおざなりになってしまい結果的に来院継続率が思うように伸びないといった悩みを抱えている柔道整復師・鍼灸師の先生も多いと思います。
そこで今回は、インフォームドコンセントを活用し安定的に患者様に来院していただく環境づくりについてご紹介します。
▪個人的に来院継続率が悪く改善したい
▪院のメンバーの来院継続率を上げたい
▪来院継続の基礎を学びたい
インフォームドコンセント
インフォームドコンセントとは、簡単に説明するのであれば「説明と合意(同意)」という意味になります。患者様は施術や治療を受けるうえで、説明を受ける権利を持っているため必ず術者は行なうべき行程になります。
インフォームド・コンセントとは、「医師と患者との十分な情報を得た上での合意」を意味する概念。 医師が説明をし、同意を得ること。 特に、医療行為や治験などの対象者が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で、対象者が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針において合意することである。
参照元:Wikipedia
上記のWikipediaにも記載されているように、患者様と従事者間での治療や施術だけでなく方針にも合意することとあります。これは裏返せば、絶対に行なうべきことですがおざなりにしてしまっているような接骨院・整骨院は多くなってきています。そこに来院継続率を上げるポイントがあります。
来院継続率を考える
来院継続率はどの接骨院・整骨院でも課題にあがる項目だと思います。ですが、そのほとんどの接骨院・整骨院でなかなか思うように改善ができずに最終的に新規の集客施策に逃げてしまう傾向にあります。このようなサイクルを繰り返してしまうと成果を出し続けたり、今以上の成果を出すことが困難になってきます。
新規の集客をしても、来院継続率が悪いままであれば離反してしまうことは当然です。
上記図のように負のサイクルに陥ってしまい、どう改善したらいいのかという思考になってしまいがちです。また、自院もしくは自身の来院継続率を正確に把握しているかどうかもポイントになります。新規の患者様、既存の患者様、再新患の患者様など全体ではなく、分類ごとの数値把握の有無が改善する際には必要です。
上記のサイクルを理解した上で、次にインフォームドコンセントをどう扱っていくかの実践について分解して考えていきます。
来院の継続|実践
インフォームドコンセントを実際にどのように扱っていくかと、どのタイミングで実施するかが重要になります。つまり、来院継続率を決める大きな要素は”問診”のフェーズにあるということです。
どんなに優れた技術を持っていても、問診時の内容が薄かったり、上手に顧客ニーズを聞き出すことができていないと次回の来院継続率は格段に下がります。実際に顧客側の立場で考えていきましょう。
①今回痛めている箇所の主訴
②どのように痛めたのか
③主訴以外の痛みの有無
④今回の痛みは初めてか
ーーー視診・触診・検査ーーー
⑤痛みの原因と状態説明
⑥施術方針の提案
⑦施術方針に対する合意
おおまかに7つのフェーズに分けましたが、大切なのは⑤と⑦の部分です。原因や状態の詳細を説明されないまま、術者が治療方針の説明だけをしていたらそれは離反に繋がる可能性は高くなります。
逆の立場で考えると分かりやすいです。
歯医者に行ったときに、通院した際の患者様の感じている不安や悩み(=原因)を探ったり、説明しないまま虫歯(=状態)の治療をいきなりし出したら不快感を覚えるはずです。
実際に現場で行なっていて、思うような来院継続率を出せていない場合には1人1人の患者様に合わせた施術が出来ていない可能性が高くなります。それは、事前に行なう問診の質が大きく関わってくるため技術の習得に励んでも成果は大きく変わりにくいのです。
痛めている箇所の主訴
まずはじめに今回来院するキッカケとなった主訴を聞いていきます。ここで重要なのは傾聴が8割程度を占めるイメージで、患者様が感じている痛めてしまったいる部位をなるべく多く聞き出します。
そこから次の”どのように痛めたのか”のフェーズに移ることができます。
どのように痛めたのか
痛めてしまっている部位の次に大切になるのが、どのようにして痛めたのかです。痛みを誘発した動作を聞き出すことで、おおよその痛めてしまっている原因部位の予測を立てることができます。
最初の痛みの主訴と動作が必ずしも一致しないこともあります。その場合には次のフェーズで更に情報を聞き出すようにしていきます。
主訴以外の痛みの有無
主訴の痛みと疼痛を誘発した動作の内容が一致しなかった場合には、主訴以外の痛みを聞き出します。患者様から話してもらえる場合が多いですが、必ずしもすべての患者様がそのようにしてくれる訳ではないため聞くようにしましょう。
そこで、主訴以外の痛みの有無も聞くようにすることで聞き出した情報と一致する場合があります。
今回の痛みは初めてか
今回来院するに至った痛みは初めてなのか、それとも繰り返しているのかを聞き出します。痛みを繰り返している場合には、原因部位の施術だけでは良くならない可能性が高まるため、日常生活上の動作やクセなども聞き出すことがポイントになります。
痛みの原因と状態説明
このフェーズは、視診・触診・検査をした後なので痛みが出ている原因とその状態について説明をします。
インフォームドコンセントの説明の部分になるため、重要項目です。最初の傾聴から始まり患者様から多くの情報を聞き出し、触診等で実際のお身体の状態を確認したうえで納得していただけるように説明をしていきます。
この説明の際に専門用語をあまり使用しないように心掛けることで説明の質を上げることが出来ます。
施術方針の提案
次に説明した痛みの原因に対して、施術の方針を提案します。今回の痛みを改善するのに必要な施術内容や通院期間などを伝えていきます。
ですが、このフェーズで治療の内容や医療機器の説明をたくさんしても患者様にはほとんどの内容が伝わっていません。顧客が一番何を求めているのかにフォーカスすることが大切です。
それは、ほとんどの患者様に”治るのか?治らないのか?”という想いがあるためそこにフォーカスした施術方針の提案の方が顧客心理に入りこみやすくなります。
施術方針に対する合意
最後に提案してすぐに施術に入るのではなく、患者様に説明した内容や施術方針に納得していただけているのかを確認します。この行程こそが”合意”の部分になります。顧客心理に入り込む説明と最後に顧客に対する確認作業はセットであるべきです。
なので、最後に「このような施術方針で進めていきますが、ご不明な点はございますか?」または「ここまでの説明でご質問などございますか?」というような患者様に質問をして最終合意のフェーズまで行っていきます。
まとめ
インフォームドコンセントについての考え方を分解してきました。やはり、対人サービス業である接骨院・整骨院は施術の技術だけでなく人としての会話の技術も求められます。
自院で来院継続率が悪い先生がいた際には課題を分解して指導をすると、どこに問題があるのかを本人も気づきやすく改善もしやすくなります。
抽象的に「最近、来院継続率が悪くなってるから改善の努力をしてほしい」といったアプローチだといつまでも改善はできません。本人にも気づいていない欠点や改善点があるはずなので課題を分解させる力を養わせるところからスタートです。
いきなり全てを改善することは難しいと思いますが、インフォームドコンセントの質が向上すれば自ずと来院継続率も上昇してくるはずです。ぜひ、今日から改善の行動に移していきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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