いきなりですが、柔道整復師・鍼灸師の方で「問診」は得意ですか?苦手ですか?
答えがイエスの方もノーという方も、「問診」の大切さは重々理解されていると思います。
今回は、「問診」の際にはどんなことをお聞きすべきか?どういう流れが好ましいか?などの疑問を少しでも解消できるようにワンステップずつ分解して考えていきましょう。
「問診」の精度というのは、すなわち”継続率”にも繋がるためどの形態で運営している整骨院・接骨院にも今回の議題は当てはまると思います。
なるべくステップを細かく分解して考えていくので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ、問診を行なうのか?
”なぜ、問診を行なうのか?”を考えたことはありますでしょうか?
柔道整復師・鍼灸師側が患者様のお身体の状態を把握するため。というのが一般的な回答になると思います。
ですが、上記の部分だけですと、術者>患者様というスタンスに近いです。
問診においての、Why(なぜ?)の部分は患者様の悩みや不安を一つでも多く聞くことにあります。意外と患者様本人は、自身の身体について知らなかったりするからです。
状態を説明してくれても、それが正しいとは限りません。潜在的に悩んでいることや、不安に感じていることを聞き出し、共感することで初めて患者様も安心をします。
■患者様の潜在的な悩みや不安を聞き出す
■訴えている原因の根本を探る
■施術する上で必要な情報を探る
柔道整復師・鍼灸師としての経験年数を重ねていくと、上記の内容がおろそかになったりすることがあり、自分本位な問診になりがちです。少しヒアリングをしただけで、「○○が原因ですね。○○治療をしていきましょう。」という流れです。
これでは、患者様の本質的な原因を理解できずに施術を進めていくことになるので状態の変化が乏しかったりすると、離反に繋がる可能性があります。
まず、なぜ、問診をするのか?をおさらいしたところで、どんなことを聞いていくべきかを分解して考えていきましょう。
問診で聞くべきこと
問診で聞くべきことは、患者様によってことなります。全て同じ症状・同じ状態なら話は別ですがそんなことは絶対にありえません。
そこで、まずは傾聴する時間を設けます。今の感じている痛みや不快感、何をすると出てくる痛みなのかなど患者様が話しやすく質問をして大まかな内容を理解するようにします。
≪基本的な質問の軸≫
・日常生活で困っていること
・どの動作で支障をきたしているのか?
・どんな時に症状が出てくるのか?
・それはいつから出ていて強さに違いはあるか?
上記の内容から更に患者様の感じている潜在的な部分まで深堀をするように意識をしましょう。
傾聴の精度を高めるようにしないから、継続率が落ちると言っても過言ではないくらい重要ポイントです。
理由は単純で、自分自身が利用したとしたときにどうでしょうか?
やはり、何か不安や悩みがあるから利用すると考えるのが普通です。この時にもしも通院先の場所が強引にこちらの意見は無視して「○○治療をすれば治ります」や「○○が原因で○○が出ています」といった断定されてしまうと、こちらの意見を聞いてくれない整骨院・接骨院というイメージが強くなり継続利用する思考から遠のく可能性が高くなります。
最初のイメージを大切にすることで、そのあとの施術においても必要な方法を提案しやすくなります。
原因を特定した後の流れ
痛みなどの身体に出ている問題を発見した後の説明も大切です。
その痛みやケガはどのくらいでどうなるか?
上記のことをしっかりと伝えないと施術をする意図が伝わらないからです。
また、患者様がどこまでの状態を望んでいるのかをこのパートで聞き出すことも重要です。顧客のニーズを探り、そのニーズに合わせた施術をマッチングさせるのが大切だからです。
整骨院・接骨院によっては、ここで回数券や料金の高い施術を提案するところもあると思いますが本当に必要か?という点はどんな状況でも同じハズです。
マニュアルに沿った業務よりも、身体に沿った施術の方が間違いなく患者様からの信頼は獲得しやすく、継続利用をしていただく可能性も高くなります。
自費だけでに依存している整骨院・接骨院の場合でも、適切に施術ができるメニューを揃えておきましょう。
たまに、突き指などの軽度の外傷関連でも骨盤矯正を勧めるところがあるそうですがそれをして本当に患者様のためかどうかは普通に考えればわかるハズです。
・患者様の求めている身体の状態
・施術に対する不安や悩み
・どのくらいで良くなりたいか
また、今ではアプリで身体の解剖学を出せるものもありますのでそちらを使用して詳細を説明することも重要です。
身体のことについて知らない方が多いなかで、いくら一生懸命説明しても半分以下しか伝わらないからです。
情報は聴覚だけでなく視覚でも捉えることでより、情報が入りやすくなります。+αではありますが、この時に解剖学の映像を見せながら実際に触診することも更に情報のインプットを高めます。
専門性を高くしすぎて言葉だけで説明するのと、同じ専門性の高さでも見たり、触られたりするのとでは患者様の満足度に差が出てきやすいのでなるべく触れるように意識してみましょう。
施術後の説明
施術後には施術前との状態と比較してどのような変化があったかを伝えるようにします。
この施術後の変化は、術者側から見た状態と患者様の状態が一致しないときもあります。そこで、何が、どのように、どう変わったのか?を伝えるようにします。
噓偽りなく、施術によってもたらされた状態を把握することで次回の来院指導の理由にもなってきます。
この変化や状態を認識することを怠ってしまうと、最後に実施する来院指導に何の意味もなくなってしまいます。
施術による変化が起こり、それによってどうなって、今後どんなことが必要なのか。といった見通しが立てられるようになることは柔道整復師・鍼灸師として求められる最低限のスキルになります。
まとめ
今の整骨院・整骨院業界全体を考えても、問診力の衰えは間違いなくあります。
解剖学や生理学、運動学など人の身体を立体的かつ詳細に捉えようとしなくなっていることも関係しています。
マニュアルに沿った、商品や回数券を販売する力ばかりを磨き、柔道整復師・鍼灸師の本来の姿を変えつつあります。
大多数から見た、周りと同じ整骨院・接骨院というのはどんなにスキルを磨いても競争に負ける可能性は大いに考えられます。
今回の記事を元に、柔道整復師・鍼灸師としての考えを再度見直すようになれれば幸いですし、課題が明確になった方はぜひPDCAサイクルを回すようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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