マーケティングの基本中の基本といわれている顧客分析。その中でもRFM分析は、数々の顧客分析手法の中でも有効性が高く、接骨院・整骨院でも取り入れるべき手法です。
ここでは顧客分析に有効なRFM分析の概要から分析方法のほか、課題とその解決法まで、まとめてご紹介します。
冒頭でも挙げたようにRFM分析とは顧客を分析するためのフレームワークです。その内容は下記のようになります。
▪Recency・・・最近の利用日(購入日)
▪Frequency・・・来院頻度
▪Monetary・・・購入金額ボリューム
上記3つを分析することで、接骨院の場合だと主に新規・安定・優良・離反・休眠の5つに分類されます。これらの項目を正しく分析することで、今日からスグに行動に移せる手法が出てくるようになります。1つずつ分解しながら見ていきましょう。
下記のような悩みを抱えている柔道整復師の先生におすすめの記事になります。
「そもそも顧客分析方法が分からない」
「最近、集客に伸び悩んでいる」
「現状よりも院内の状況を変えたい」
「安定顧客と優良顧客を増やしたい」
「離反する顧客を少なくしたい」
Recency(リセンシー)
Recencyは、顧客の利用(来院)データのうち、「利用日時」からその顧客が最後に接骨院を利用したのはいつかを抽出し、その時期によってグループ化をします。最終利用日が近い顧客のほうが、何年も前に購入した顧客より良い顧客だと考える項目です。ですが、どれくらいの期間で分けるのかどのような顧客を分析するかは、利用の特性などによって決定します。
接骨院・整骨院のRecency
▶健康保険利用の患者様
▶自費患者様
▶健康保険・自費両方の利用の患者様
接骨院の場合、同種類の顧客ではない可能性もあるので上記のように3つに分類してRecency(最近の利用日)を分析するといいでしょう。
Frequency(フリークエンシー)
Frequencyは、購入頻度からグループ分けをするもので、購入頻度が高い顧客ほど良い顧客だと考えます。どれぐらいの期間内の利用行動を対象とするかは、利用内容の特性などによって設定します。
この値が高い顧客が多い場合、常連の患者様が多く、低い顧客が多い場合には商品やサービスの内容に満足していない顧客が多い可能性があるといったことがわかります。また、この値が高い顧客が多く、低い顧客が少ない場合は、新規顧客が少ないことを意味します。
接骨院・整骨院のFrequency
▶健康保険や自費などの顧客分類
▶接骨院で一番売れる施術は何か
接骨院で考えるときに保険か自費かで頻度に差が出ます。なので、Frequencyのパートで分析する際にはそれぞれの顧客状況から考えるようにします。
Monetary(マネタリー)
Monetaryは、来院履歴から利用金額の総額を計算して、グループ分けをするものです。利用による金額が大きいほど良い顧客だと考え、金額が少ない場合にはFrequencyの頻度と照らし合わせて分析をしていきます。RecencyやFrequencyと同様に、どれぐらいの期間内の利用行動を対象とするかは、利用内容の特性などによって決定します。
接骨院・整骨院のManetary
▶施術単価の違い
▶健康保険と自費などの顧客分類
▶来院した際の状況
グループ分け
次にグループ分けを行ないます。すべての患者様が同一の条件ではないので、顧客分類をした上で分析をしていく必要があります。接骨院・整骨院でやる場合下記の5つに分けられます。
▪新規顧客
新しく来院した顧客(再新患も含む)
▪安定顧客
月間来院3回以上・2ヶ月以上の継続来院
▪優良顧客
月間来院5回以上・平均単価よりも上
▪離反顧客
月内・月またぎの来院停止
▪休眠顧客
最終来院から5ヶ月以上の休眠
RFM分析では、この分類わけをしっかりとすることでより正確な分析をすることができるようになります。
RFM分析では下記のような考え方が一般的にあります。
R・・・Recency(直近の来院)
F・・・Frequency(施術頻度)
M・・・Monetary(施術単価)
- Rが高い顧客ほど将来の収益に貢献する可能性が高い
- Rが低ければFやMが高くても他社に奪われ離反している可能性が高い
- Rが同じならFが高いほど常連客になっている
- Rが同じならFやMが高いほど購買力がある顧客
- RやFが高くてもMが少ない顧客は購買力が低い
- Fが低くMが高い顧客はRの高い方が良い顧客
- Fが上がらないか下がっている顧客は他社に奪われている可能性が高い
- RFMすべてが低い顧客は切り捨てることも検討
RFM分析の進め方
RFM分析の進め方は下記の5つに分けることができます。
①解決すべき課題の抽出
②課題に対する仮説を立てる
③仮説に対する数字データの算出
④データ分析
⑤課題に対する施策案
解決すべき課題の抽出
まず分析していく上で大切なことは、課題を明確にすることです。課題が明確でないと正しく分析することは難しくなるので、なるべく自院を俯瞰して抽出してみましょう。
課題に対する仮説を立てる
課題の”どこに問題があるのか”を仮説を立てていきます。いわゆる現状把握の部分になります。ここであげる課題は必ず事象にフォーカスをします。数字だけでなくどんな課題感があるのかを抽出していくことが大切です。
RFM分析とは異なりますがビジネスの基本のPDCAサイクルのCHECKにあたる部分が現状把握と要因分析です。
仮説に対する数字データの算出
仮説の内容にもよりますが、最近の1日の来院数が少なかったり、1人あたりの施術単価が安かったり、院全体でのリピート率が悪いと感じている場合にはその事象に対する数字を揃えていきます。
データを分析
分析をする際には、Recency・Frequency・Monetaryを5つの階層ごとに分けて行なっていきます。
上記の表を元に更に分析ポイントを絞っていく必要があります。例えば、現在離反の顧客が多いことに悩んでいる場合にはRecencyのランク3~5あたりが分析ポイントになります。課題に感じている院の状況をしっかりと出すことができないと細かい分析はできないので、課題の抽出をベースに考えていきましょう。
課題に対する施策案
データ上と感じている課題の双方から分析した結果をもとに、行動ベースまで落とし込める施策を立案します。ここで行なう施策はクリティカルな内容ではないかもしれません。ですが、患者様との会話の内容や施術の適切な提案など分析したからこそ出てくる施策は必ずあります。
上記の例であげたような離反患者の減少を考える場合には、施術前後の声掛けや次回通院の指導や受付での予約実行度などにフォーカスすることができます。課題解決ができる内容の施策を立てることが重要ポイントになってきます。
接骨院RFM分析表
接骨院・整骨院でRFM分析を行なうと下記の表のようになる可能性が高いです。新規顧客が優良顧客に至るまでの回数と期間。離反をした時の状況を総合利用回数で判断。
上記の内容が明確になり、顧客の分類わけが出来るとそれぞれに対する施策内容に違いが出てくるのは当然になります。完全離反となる顧客と優良顧客からの休眠では施策に対する反応率も変わってくるため適切な分類わけの判断をしましょう。
あと、この表から読み解く内容としては安定顧客からの離反という流れの部分です。必ず接骨院・整骨院で一定層でいる顧客になります。通院指導に沿って来院していたものの身体の治癒を前に通院が途切れるケース。このような顧客に対しては離反してしまう可能性の高い時期(来院回数)を見極め、通院に対するリプランをすることで離反の確立を下げることができるようになります。
接骨院・整骨院でのRFM分析は、分析後のアプローチが複数種類や内容が複雑になる可能性が高くなるため高い分析能力が求められますが、やり続けることで顧客行動のクセに気づけるようになります。
まとめ
今回は、ビジネスフレームワークであるRFM分析についてご紹介しました。コロナウイルス感染症の影響を受けて離反や通院の継続率などが低下していることに悩む先生はぜひ、取り組んでみてください。
顧客行動を理解することから始めると、今まで行ってきたキャンペーンやクーポンなども見直すことができるようになります。本当にそのサービスが必要な顧客は5種類のうちどれか?などが明確になってきます。分析には時間がかかりますが集客増加を期待でき、結果的に売上の増加にもつながるのでぜひ行っていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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