スポーツでケガをした患者様にどんな処置をしていますか?
ケガをしたら、RICE処置もしくはPRICE処置というのが柔道整復師の先生が良く知る処置方法だと思います。
ですが、近年RICE処置の効果について研究が行われ、先日神戸大学の論文でIce(冷却)の効果性があまり望めないとの発表がありました。
そこで今回はRICE処置から新しい処置が推奨されているのでそちらについてご紹介したいと思います。
外傷に携わっている柔道整復師の先生には、ぜひチェックしていただきたい内容になっています。
今回RICE処置からPEACE&LOVEという処置が推奨され始めています。このPEACE&LOVEは受傷直後と数日後の身体の変化に対してどう接していくべきかが決められています。全てを実行していくには環境やタイミングによって異なります。
「え・・・愛と平和のこと?」と感じるかもしれませんがご安心ください。そのような精神論ではなく、頭文字を合わせて構成されています。
今回ご紹介するPEACE&LOVEはここ数年で注目されてきており今までの概念を覆す内容となっています。
✓外傷に対する処置内容を見直したい
✓外傷に携わる上で新しい情報を知りたい
✓柔道整復師として知識のアップデートを図りたい
ケガに携わるスポーツトレーナーはもちろんですが柔道整復師、鍼灸師などの資格をお持ちの先生やこれから資格を取得予定の学生もぜひ覚えておきましょう。
RICE処置のおさらい
PEACE&LOVEの話に入る前にRICE処置のおさらいからしていきます。RICE処置は以下の通りです。
R・・・Rest(安静)
I・・・Ice(冷却)
C・・・Compression(圧迫)
E・・・Elevation(挙上)
※PRICEの場合だとP・・・Protection(保護)
捻挫や打撲、肉離れ、骨折、脱臼などの外傷の際に用いられる基本的な処置方法として長い間知られており、今もなお使用されている先生も多いです。
今回PEACE&LOVEが推奨される背景に冒頭でも挙げたIce(冷却)の効果性についてずっと研究されてきたことが関係しています。
人の身体は、ケガなどの外傷を負った際に必ず炎症反応が出てきます。
この炎症反応の際に出てくるマクロファージなどがアイシングを行なうと損傷した筋へ届くまでの遅延が研究にて発表されました。
最近行われた神戸大学の研究結果からIce(冷却)は行わない方が良い。という裏付け情報が出てきました。今回のIce(冷却)に関する研究は肉離れの重度な損傷をした場合なので筋繊維の軽度の損傷に対しての有用性はまだ研究段階です。
PEACE&LOVE
次に、Ice(冷却)に対する概念が変わる研究結果が出たことにより冒頭でも紹介した新しい処置方法であるPEACE&LOVEについて説明してきます。
P・・・Protection(保護)
E・・・Elevation(挙上)
A・・・Avoid Anti-Inflammtories(抗炎症薬を避ける)
C・・・Compression(圧迫)
E・・・Education(教育)
&・・・受傷直後がPEACE。数日後がLOVE。
L・・・Load(負荷)
O・・・Optimism(楽観思考)
V・・・Vascularisation(血流量を増やす)
E・・・Exercise(運動)
上記の内容で注目したいのはRICE処置の中にあったIce(冷却)は選ばれていません。このように新しい処置では炎症抑制効果を重視するため血流量に対して疎外となりえることは極力避けるよう定義されています。
実際にIce(冷却)だけでなく抗炎症薬も処置における対象外にするように設定されています。
今回提唱されているPEACE&LOVEの内容は、体内の治癒を促進させようとする際に血流量の低下は治癒遅延に結び付くというメッセージが含まれていることが読み取れます。また、ずっと安静にしていればいいかと言うとそうではなく、適切なタイミングで運動を開始していくことも求められています。
適切な負荷をかけるように意識することも治癒を促進する上で重要な一つの要素です。
今までのRICE処置とは大幅に異なる視点になっていることと、RICE処置が扱われ始めてから長い歴史があるためこの処置方法が浸透するまでは時間がかかると思われます。今回提唱されている処置方法を盲信するのではなく、患者様のお身体の状態や外傷症状の程度によって臨機応変に対応していくことが望ましいと思われます。
今回、PEACE&LOVEを通して接骨院・整骨院での処置方法に取り入れてみてはいかがでしょうか?
筋損傷に対する研究結果
今回ご紹介しているPEACE&LOVEと関連して考えるべきIce(冷却)の研究結果について少し触れていきます。
筋損傷後の炎症性マクロファージと抗炎症性マクロファージについても記載されており非常にわかりやすく研究結果が発表されいるのでご参照ください。今回の研究は、重度筋損傷の場合であるため軽度~中等度の筋損傷時もIce(冷却)は無効なのかどうかはこれからの情報チェックが必要になります。
神戸大学研究論文
Ice(冷却)に対する考え方
神戸大学のアイシングに関する研究は遠心性収縮時の重度筋損傷に対しては治癒遅延するという結果でした。
軽度の筋損傷である場合にアイシングの効果性は否定されていません。炎症反応を阻害しない意味でのアイシングは使用してもいいと考えられます。
例えば筋繊維が損傷をしないような筋疲労(筋肉痛)は血流量増加によって引き起こされます。このような血流量増加に伴う症状にはアイシングで抑制することは効果があるでしょう。
ケガをしたら当たり前のようにアイシングを行なうのではなく、適切に判断し提供するようにしていくことがこれからの柔道整復師、接骨院・整骨院に求められることだと感じています。
軽度の筋損傷時には、PEACE&LOVEにも出てきた圧迫処置が必要になります。スポーツ現場でのケガに対して7.5㎝幅のテーピングを3~5本ほど使用して強く圧迫をすることで疼痛の軽減が見込めます。
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まとめ
今回は近年注目されている新しい処置方法のPEACE&LOVEについてご紹介しました。
外傷に携わる機会の多いスポーツトレーナーや柔道整復師、鍼灸師の方は知っておくことで痛みで困る患者様を早期に救うことができるようになるハズです。
おそらく今後も新しい処置方法が考案されてくると思いますので情報感度を上げておきましょう。RICE処置に固執している先生をご存知でしたら当ページを参照いただくようご紹介ください。
\最後までご覧いただきありがとうございました/
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